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大安吉日、天気の良い日に土台が敷かれ、上棟に先立ち、柱を一本だけ立てました。

上棟の日は、あいにくの雨となってしまいましたが、「雨降って地固まる」という言葉を胸に施主様と大工さんたちの気持ちは一つとなり、工事が始まりました。

まずは、柱立て工事と躯体を組む工事とで大工さんがそれぞれに手分けして作業は進められます。

雨が降る中でも日頃より上棟の段取りは、理解している大工さんたちですから、順調に進められています。

今回の家造りも土壁工法ということで、貫板を柱に差し込みながらの耐力壁を構造躯体と一体化させる工法となります。

木と木で組み合わされた工法は、上棟時にとても時間が掛かることとなります。

また、雨の日は、長時間材料を濡らすと、木が水分を含み、膨れ上がってしまうことがあり、搬入後は出来るだけ濡らさぬよう納められていきます。

それでも、大工さんは、各自連携をしながら進めていきました。写真は、大工の松岡さんが胴差しに長いヤトイボソを組み込んでいます。

そして、その差付けられた胴差しをレッカーで吊り、大きな大黒柱に差しつけていきます。

続いて、その反対側から同じく胴差しをレッカーで吊り、大工さんによって刻み込まれたヤトイボソの差しこみ部へ差付けられることとなります。

大黒柱に各胴差しが納められると、大黒柱に差し付けられている反対の材の先の下に穴があり、そこへ受け材の頭のホソに差し込まれました。

各端部は、しっかりと受け材によって、受けられており、これらは、強度上、間取りとの関連性が強く、しかし、大工さんの木取りによって、しっかりした木組みの組み方が考え出されています。

大黒柱を繋いだ胴差しは、硬木栓によって打ち込むことで、しっかりと強固な軸組みを創り上げます。

また、反対の受けられた材の上には、更なる材が組み込まれ荷重が掛かることによって、強固な木組みを形成することとなります。

こちらのお住まいは、二階建てということで、土台から小屋組みに延びる長い通し柱が多数入っています。特に、二階の床部となる箇所は、予め差し付けられた3本の貫板があるため、納めるのに大変な作業となります。

それは、ただ単に、くっ付けて金具で補強する工法ではないため、とても面倒で手間が掛かり、より時間も掛かってくるのです。

そして、順に差付け、組まれていくと、筋交いを使わなくとも、軸組がしっかりしていくため、建物の揺れが無くなってくるのです。

この木組みに竹小舞が差付けられ、面構造を形成することで、自然で組まれた強固な躯体となっていくのでしょう。

また、あらわしとなるため木組み自体が見えてしまうため、材料を傷つけないよう大工さんたちは、アテ材を使いながら材料を納めていきます。

一本、一本、一箇所、一箇所を丁寧に自然で育まれた材料を扱っていくのです。

そして、大黒柱に頭部に新たな胴差しが差しつけられ、四方から延びてきている胴差しをしっかりと支えていくことで、このお住まいのご主人と同じような存在となるのでしょう。 

一階部が形成されると、続いて、二階の柱がレッカーで吊り上げ、運ばれてきました。 

それを大工さんたちは、一斉に立てかけていきます。

一方、棟梁の松っちゃんが外部で焦げ茶に塗られた大きな材料を組み始めました。

これは、南側に作られることとなるウッドデッキの材料なのです。予め、外部で組まれ、レッカーで一気に運び込むこことなります。

木と木で組まれた材料は、しっかりとその形を剥き出しとし、崩れることなどなく、立ち上がりました。

そして、現地へ運び込まれると、大工さんたちは、デッキと躯体を差付け、順に繋ぎ材を組み込んでいき、ウッドデッキが完成となります。

また、二階部では、東西に延びた長い桁材が組まれ始めました。

桁、妻梁と四方が組まれると、ヤダキ材を納めて、続いて、大工さんたちは掛け矢を使い、大きく振り落とすことで、掛け声と共に大きな丸太を納めていきます。

ヤダキに丸太材や角材などの梁材が咬まされることにより、強い小屋組みが形成されることとなります。

この頃には、午前中の強かった雨の勢いも弱まり、大工さんたちは仕事がやり易そうでした。

また、このヤダキが組まれる頃には、建物躯体全体の揺れも少なくなっていたのでした。

そして、甲乙材(切妻屋根の三角形部分を形成する材)が予め、外部で組まれ、一気にレッカーで吊り上げられて、大工さんたちが順に納めていきました。

この甲乙材は、丸太材を採用しているため、丸太の上部でその箇所その箇所でレベルが変わってくるため、墨付け段階に大工さんの技術に掛かってきます。

そして、遂に、棟木を収めることとなる『上棟』の時となりました。その際には、施主様にてっぺんまで上がっていただき、大工さんと共に棟上を行ないました。

雨の中の上棟となってしまいましたが、無事、棟が上がると、上棟式を行ないました。 

また、その前には、上棟の日の儀式の一つともいえるお飾りの幣串を装飾し、立掛けました。 

そして、参加者全員で神様に無事、棟が上がったという報告と、これからも無事、安全に工事が進んでいくよう祈願しました。 

順に、キクさんが二礼、二拍手、一礼とし、祈願を行ないました。 

松っちゃんも二礼、二拍手、一礼とし、祈願を行ないました。 

そして、最後は、お神酒で乾杯を行い、無事、上棟式を終えたのでした。 

すると、何やら人だかりが見え始めてきました。 

こちらのお住まいの上棟では、餅まきを行うこととなっていたのです。まずは、施主様が大黒の大きな御餅を撒きました。 

そして、順に四方の餅が撒かれて、一斉に餅まきが始まりました。 

歓声が広がり、近所の方など、たくさんの人が楽しそうにお餅を拾われていました。 

期待と不安を抱きながらも、始まった家造り。しかし、ようやくこの『上棟』という日を迎え、この場所にしっかりと木組みが組み合わされていく瞬間を目に焼き付けることで、未来の暮らしへの〝戸惑い〟が〝確信〟となった『瞬間』となったのかもしれません。