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『ゆとりの家』の建前は、大きな材料を使った複雑な木組み、かつ、厚い土壁の 貫板が多く取り付くため、予め、数日での建前作業を行うこととしました。

厚い土台に厚い通し柱は差し付け部分も多く、また、化粧となる構造材“あらわ し”が多用されていることもあり、大工さんたちにいつも以上の緊張感が漂ってきました。

そして、通し柱同士の間に取り付くだろう大きな胴差し材を納めていく際には、 時に太い柱を寝かし加減にしながら長いホソを差し付け、また、時に縦の材も横の材もすべて少し浮かしながらと確実に納めていきました。

ホソが通し柱の穴に差し掛かると材に一人の大工さんがアテ木をかませ、また、 もう一人の大工さんが掛矢を振って納めていきます。

そして、一本の横架材の反対側でも同時に通し柱に胴差し材を差し付け、納める際には離れながらも大きな声で息を合わせて掛矢を振り込み納めていきます。

そして、順に、胴差しが通し柱を一辺、二辺、三辺と差し付け納めていく都度、構造躯体は強靭に固まっていくこととなり、四辺目となると、材と材が“開く”ことが難しなっていくため、大工さんの表情がより険しくなっていきました。

それでも、順に、しっかりと考えられた複雑な木組みの胴差し部分を差し付けるところまでが全て組まれると、それまで険しかった大工さんたちの表情は一変し、安堵感溢れた表情へと変わって、これまで以上に元気よく、声高々に掛矢を振りかざし材料を納めていきました。

また設計のAA STUDIOさんも、現場での確認をしっかりとされ、時に大工さんたちの傍で一緒にに汗を流し、その構造躯体が組まれていく“瞬間”を“心”に刻み込んでいるようにも感じました。

初夏の蒸し暑い日々となりましたが、材料と材料がしっかりと重なり合い、組み上がっていく時間が刻々と過ぎ去っていきました。

仮に納めた材を再び浮かし、材を納めていく作業や化粧材が傷つかぬよう養生カバーで包む作業など地道な作業が繰り返されていきました。

そして、大きな出窓を納める際には、予め、一階外回りの材料置き場で組み合わせ、それを二階の現地へとレッカーで一気に吊り上げて納めようとしました。  

しかし、大きな出窓の差し付けホソを水平にして納めなければならず、その作業は簡単なものではありませんでしたが、大工さんたちは日頃から性格もよく知った仲間たちでもあるので、呼吸を合わせ一斉に差し付け納めていきました。 

納まった材を固定させる際には樫の木の栓を使い、一人の大工さんが掛矢で栓を叩き込むと共に、もう一人の大工さんがスムーズに入り易くするよう材を掛矢で叩き、響かせていました。 

そして、二階の柱や通し柱の頭部分のホソに登り梁が差し付けられると、ぶれることもなくなる渡りアゴ工法にて桁材をガッチリと咬ませていきました。 

また、建前当初は一階の外部周りの材料置き場に山のように積み込まれていたのですが、徐々に、地面も見え始め、大工さんたちも足元が良くなり、段取りの方もし易くなっているようでした。 

こだわり抜いたこの家造りがこの場所で初めて目に写ることとなるこの瞬間。 

一本、一本、木と木が組み合わさっていくことが、お施主様ご自身の家造りの長い年月を思い出させ照らし合わさっていくと共に、構造躯体が組み上がっていく都度、“思い”と“こだわり”を込められた“期待”と“不安”という“思い”が“確信”へと変わっていき始めたのかもしれません。 

そして、納めていくのに苦労や難題多かったこの建前でしたが、遂に、棟納めとなる瞬間が訪れました。 

お施主様や設計士が大工さんと共に掛矢を持ち、皆、晴れやかな表情で棟木納めを行いました。  

“人”と“人”との“ご縁”とその“繋がり”から始まった家造り。心を一つとして“上棟”という“瞬間”を共に迎えられたことで、『住まい手』と『作り手』のまた確かな“絆”が生み出されたのかもしれません。